100年前に刊行されて自分に影響を与えた本がないかと探していたら、あった! ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』だ。
「世界は成立していることがらの総体である」「論理空間の中にある諸事実、それが世界である」……。概念を厳密に定義し、そこから論理的に導かれる命題を並べた断章集のような哲学書は最後に「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」に至る。論理の世界を疾走して言葉のない虚空へと突き抜けてゆくようなスピード感が大学時代の筆者を魅了した。
ウィトゲンシュタインはこの本の完成で哲学を封印できると信じたがそうは問屋が卸さなかった。著者自身が数年後には哲学研究に舞い戻ってしまったように、どこまで語れるか、限界を見極めようとするのは人の性だ。筆者も『論考』から考え始めた。人類が存続する限り、同じことをする人は現れ続けるだろう。
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source : 文藝春秋 2022年1月号