息子が見た横田夫妻「地獄の40年」 姉・めぐみに会えたら「ごめんね」と言いたい

特集 次は安倍・金正恩対決だ

横田 拓也 家族会事務局長
ライフ 社会 国際 韓国・北朝鮮
横田めぐみさんの弟・拓也さん ©文藝春秋

 横田めぐみさん(当時13歳)が1977年に北朝鮮に拉致されてから41年目の今年6月12日、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が開かれた。
 日本側が米朝会談での言及をトランプ大統領に要望していた拉致問題は、北朝鮮の非核化をめぐる米朝共同声明には盛り込まれなかったが、トランプ大統領によれば、「会談の中で提起した」という。
 日本にとって最重要課題である拉致問題は解決に向け進展するのか。めぐみさんの弟で「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」の事務局長を務める横田拓也氏が、拉致解決にむけて両親の滋さんや早紀江さんら家族が闘い続けてきた長き日々の実情とともに、米朝会談をどう受け止めたのか、率直な思いを明かした。

 今回の米朝会談はさまざまな見方や議論があると思います。「政治ショーでしかない」と言う方もいらっしゃいますが、敵対する国のリーダー同士が平和を見据えた対話を直接行なったことは、アジア地域や日本の安全保障にとてもプラスになったと思います。

 今回、トランプ大統領は会談前に「自分はこれまでの大統領や政権と違って、北朝鮮をめぐる問題を解決する」ということを声高に叫んでいましたから、そこをわれわれは信じていくしかありません。

 ただ、北朝鮮は、1994年の米朝枠組み合意であれ、2000年代以降の六者協議であれ、これまでにも各国とのさまざまな約束事を簡単に反故にしてきた国です。そういった「二枚舌外交」を私たちは歴史の教訓として学んでいるわけですから、トップ会談そのものに関心を寄せるのではなく、今後の実務者協議を通じて明らかになってくる北朝鮮の真意や姿勢を注視していかなくてはいけません。そこが見えてから判断していかないと、今回の会談の評価はできないと考えています。

 一方で、北朝鮮も世界最大の軍事力を持つアメリカの大統領と1対1で約束したことを簡単に反故にしてしまえば、自らが求めていた体制の保証は瓦解するでしょう。ですから、今回の会談をこれまで以上に深刻に受け止めたうえで、慎重、かつ誠意をもって対応してほしいと願っています。

「部分的な拉致解決は望んでいない」

 米朝会談後の6月14日には、官邸で安倍(晋三)首相と家族会の面談があり、会談後のトランプ大統領から安倍さんにかかってきた電話の内容などについてお話をおうかがいしました。

 面談の場で聞いたことは口外してはいけないことになっているので詳細を述べることは差し控えます。ただ、私たちが要望したことやその場で感じたことは明かすことはできるので、その点はお話ししたいと思います。

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source : 文藝春秋 2018年08月号

genre : ライフ 社会 国際 韓国・北朝鮮