井上さん
(撮影・三原久明)
お歳暮やお中元など、節目の贈り物はあまりしたことがないんです。ふと、すごく美味しいものに巡り合うと人に伝えたくなる。「あの人はきっと好きだな」と顔が浮かんだときにはじめて贈ることにしています。「おいしい」を分かち合いたくて。
蒸さずに焼く関西風の𠮷塚のうなぎは昔、九州にルーツを持つ母に教わってからすっかり定番に。特別な日や感謝の気持ちを伝えたいときなど、ちょっとリッチな贈り物にぴったりです。斉吉のお惣菜は、たとえば一人暮らしの友人に、「きちんとごはん食べてね」というメッセージを込めて贈ることが多いかな。特に酢で締めたさんまはお酒にもよく合って、わが家でも晩酌のあてにしています。長野に移り住んでからスーパーで簡単に地酒が手に入るようになり、お酒が進むばかり……。
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source : 文藝春秋 2022年2月号