履く者の心まで前向きにしてくれる凜とした美しさと、上質な履き心地。今年こそはそんな“華のある靴”をおろし、新しい一歩を踏み出そう。
写真=渡辺修身、フラワーコーディネート=小路苑
John Lobb(ジョンロブ)
紳士靴の最高峰ブランドが誇るストレートチップ「シティーⅡ」。ドラマチックな陰影を描く上質なカーフレザー、一寸の乱れもない縫製、クラシックなスポーツカーを彷彿させる流麗なフォルム……。スーツスタイルにこれほど似合う靴はない。¥192,500/ジョンロブ(ジョン ロブ ジャパン☎03-6267-6010)
靴とは、履く人の内面を 映し出す鏡である
「その人が服に気を配っているかどうかを知るには、靴を見ればいい」とは、イギリスの社会人類学者、ジェームズ・ジョージ・フレイザーの言葉である。つまり靴とは、履き手の服装や人格を反映する鏡。その証拠に、男女問わず一流と言われる人間は、例外なく一流の靴を履いている。それも決して奇抜なものではなく、上質かつベーシックなものを、手入れして。
カジュアル化のあおりを受けて革靴不要論まで叫ばれている昨今だが、大量生産のスニーカーでは、あなたの人生は語れない。改めて上質なレザーを使い職人が丹念に仕立てた、工芸品としての華やぎを備えた靴に注目してほしい。英国の貴族たちは継ぎ当てを施してまで一足の靴を愛し続けるというが、履くほどに美しく枯れていくそれは、いつしかあなたという存在の代弁者になってくれるだろう。
華のある靴は、枯れても美しい
稀代の洒落者として知られた俳優にしてダンサー、フレッド・アステア。靴に軽快さを求めた彼は、スエードやコンビシューズを愛用。パンツ丈とのバランスを徹底的に追求した。©Photofest/Aflo
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source : 文藝春秋 2022年2月号