男性社会に爪を立て、「右派のマドンナ」として台頭し…
高市早苗首相の発信が波紋を広げたのは、7月20日、海の日の夜のことだった。自身のXで突如、首相就任以来、0〜3時間睡眠が常態化していると明かしたのだ。自らの「頑張り」をアピールする異様さに、困惑の声が相次いだ。
その女性初の首相の支持率について、鍵を握るのは女性たちだとされる。朝日新聞の7月の世論調査では、支持率は前回60%から53%に下がった。これを男女別で見ると、男性は前月の調査から4ポイント減の60%だったのに対し、女性は11ポイント減の46%に急落。不支持率も40%まで高まった。
女性が見る「高市早苗」とは、一体どんな人物なのか。同じ女性政治家たちの証言から探ってみたい。

ワンピースを身にまとい、カメラに向かってウインクする女性。1990年、週刊誌「FRIDAY」に掲載された高市の写真である。高市と共に写るのは、伊丹十三作品などで女優として活躍していた石井苗子(現・日本維新の会参院議員)。当時、2人はフジテレビの朝の情報番組「朝だ!どうなる」のキャスターとして共演していた。石井が振り返る。
「私たちの服装は、当時流行っていた、身体のラインを強調する“ボディコン”スタイル。私が履いていたピンクのハイヒールを見て、高市さんは『アメリカナイズやん!』なんて言っていました」
高市は米国のパトリシア・シュローダー下院議員の事務所勤務を経て、89年からテレビ番組のキャスターなどとしてメディア出演を重ねた。FRIDAYに登場した当時は29歳。7歳年上の石井を「お姉ちゃん」と慕っていたが、石井は、高市について「自分とは真逆」だと感じていた。
「高市さんはガリ勉タイプで勉強熱心。ある日の生放送中、彼女が話そうとした時にちょうどCMに入ってしまった。すごく悔しそうな顔をするので、ディレクターがわざわざ謝りに来るほどでした。私はむしろ、オンエア中に眠そうな顔をして、ADに注意されていたタイプでした」
番組スタートと同じ90年、2人は「週刊朝日」の短期連載企画にそろって登場。高市は羽田孜を、石井は森喜朗をインタビューしている。
「この連載を担当したカメラマンさんが亡くなった際に、ご家族から伺ったのですが、私と高市さんは本当に対照的な2人だったと仰っていたそうです。私が森さんにインタビューした際には、彼は2時間以上も遅れてきた挙句、開口一番『いや、美人を待たせちゃいかん』と言うので、私は、女性をバカにしているとすごい顔でにらみつけたそうです。対して、高市さんは『あれもやります、これもやります』と自分を売り込もうとしていたそうです。『絶対に政治家になる』と一生懸命だったのでしょう」
「男が好きで何が悪い?」
石井は、キャスター時代の高市がメイク室で高らかにこう宣言したのを覚えている。
「総理大臣になる!」
だが、それを聞いた人の大半は、ジョークと捉えたようだった。
「政界は男の競争社会とされていた時代でしたから、女性が総理を目指すと公言すること自体が型破りなことだった。みんな『そっか、頑張れよ』と相手にしない感じでした」
それでも石井だけは「この人は本気だ」と確信していたという。
「彼女は、女性が社会で重要なポジションを担うことの必要性を常に考えてきたのだと思います。総理として、国を大きく動かすリーダーになりたいと考えていたのでしょう」
バブル崩壊前後の時代。石井は時に、高市と政治談義を交わすこともあった。
「この国には素晴らしいものがたくさんある。それを次の世代が自覚できるようにしたいの」
いささか楽観的すぎる考えの高市に、石井はシビアな見方をぶつけた。
「今後、少子高齢化が深刻になる。女も男も、1人でも子育てできる環境作りが必要だと思う」
「総理になりたい」と公言していた高市だが、「総理としてやりたいこと」は曖昧だったようにも見える。
一方、この頃の高市は、著書「30歳のバースディ」(92年)の中で赤裸々な男性経験を披露するなど、自らの奔放さを隠さなかった。石井に対しても、男性に対する積極的な姿勢を見せていたという。
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