暴行後「証拠が残るからシャワーを」と男が強いてきました。
※この記事は性暴力被害の描写があります。フラッシュバックなどが不安な方はご留意ください
「知識と環境が私を守ってくれた」
今年2月、東京地方裁判所で開かれた刑事裁判で、私は裁判官や裁判員の方々にこう訴えていました。
「私はこの場では被害者として立っていますが、『被害者』ではなく、意思を持った1人の人間です。『かわいそうな人』ではなく、みなさんと同じように普通に生きてきた、そしてこれからもみなさんと同じように生きていかなければならない1人の人間です。決して稀有な存在ではありません」
私が被害者となった事件の罪名は、強制性交等致傷。3年ほど前の深夜、1人暮らしの自宅マンションに侵入した見知らぬ男から、性暴力の被害を受けたのです。
大学を卒業して社会人になった年で、入社前から希望していた部署に配属された矢先の出来事でした。事件後は1日も出勤できないまま、退職することになりました。
家の中は緊張を強いられる場所に変わりました。実家であっても、夜ベッドで眠ることや、部屋のドアを開けるという当たり前のことが怖くてできない時期がありました。今も帰宅時には、まずクローゼットや浴室に人がいないかを確認しないと上着を脱ぐことができません。
ただ、一方で「知識と環境が私を守ってくれた」という思いが強くあります。
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source : 文藝春秋 2022年7月号