大叔父の奇策「黒い霧解散」再来はあるか

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3選に向けてなりふりかまわぬ安倍に物申した二人の人物と創価学会の変化

 4月21日、土曜日。首相の安倍晋三は自らが主催する毎年恒例の「桜を見る会」を、今年も新宿御苑で開催した。快晴で、都内の気温は26度まで上昇。すでに桜は散っていたが、桜の花をイメージさせるピンク色のネクタイを身につけた安倍は、タレントの梅沢富美男やピコ太郎、将棋の元名人・加藤一二三、平昌五輪スピードスケートで金、銀、銅メダルを獲得した高木美帆ら各界著名人や旬のスター、約1万7000人を前に挨拶に立つと、こう言って殊勝に頭を下げた。

「行政に対する信頼を揺るがす事態となっている。国民の皆様に改めてお詫び申し上げたい。膿を出しきって組織を立て直していく」

 実はこの日、メディアにどう扱われるかを官邸サイドが心配していた招待客がいた。小川えり。6年連続、東海地区でナンバーワンの人気を誇る名古屋の現役キャバクラ嬢だ。2日間で1億円超の驚異的な売り上げを果たしたこともある斯界の有名人なのは事実だが、誰が推薦したのか、「キャバ嬢では史上初めて」(関係者)同会に招かれた。前財務次官の福田淳一が、一連のセクハラ騒動の最中に「時には女性が接客をしているお店で言葉遊びを楽しむようなことはある」とコメントし、世間の激しい批判にさらされた直後だけに、官邸筋からは「よりによってこんなタイミングで」という懸念の声が漏れた。

 しかし小川は同会終了後、「(事前に)沢山の報道メディアに出させてもらい想像以上に話題が大きくなりすぎて色んな方達に迷惑がかかると思った為、時間をずらして行きました」と自らのインスタグラムで告白。首相との接触を避けたのは自発的「忖度」か、官邸サイドの「指示」か……真相は不明だが、写真に一緒に写ることもなく、安倍周辺は安堵したという。

 折しもこの日、北朝鮮は核実験、大陸間弾道ミサイル発射実験の即時中止と核実験場の廃棄などを一方的に宣言。安倍は「前向きな動きを歓迎する」と努めて冷静さを装ったが、内政、外交ともに問題山積で前途は多難だ。

 そんな中、安倍の最優先事項は無論、9月の自民党総裁選への対応である。しばしば周囲に「勝つためにはあらゆることをする」と公言し、布石を次々と打ち始めている。

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source : 文藝春秋 2018年06月号

genre : ニュース 政治