外交は不発、モリカケは依然逆風。正念場の新潟県知事選はいかに……
「私とプーチン大統領は全力を込めて日ロ関係を動かすと決意している。今変えないで、いつ変えるのか。二人で動かさないで他の誰が動かすのか」
5月25日、首相の安倍晋三はサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムの講演で、壇上のプーチンに北方領土問題の解決と平和条約締結を呼びかけた。
だがプーチンは、直後の海外通信社との会見で、将来の平和条約締結に言及はしたものの、北方領土問題には踏み込まず、翌26日の通算21回目となる安倍、プーチン会談でも進展はなかった。
安倍自身もめぼしい成果が得られないことは承知の上だった。側近の首相補佐官・長谷川栄一が5月上旬にロシア入りし、ロシア側の感触を探ったが「厳しい」と報告せざるを得なかった。外交筋からも「領土交渉の進展は困難だ」との情報がもたらされていた。とはいえ、領土問題解決は安倍の金看板の一つ。安倍は「なんとか形を作れるように」と指示。急遽、長谷川は外務審議官・森健良と共に安倍に先立ち訪ロ、元島民による空路墓参の7月実施、ウニの養殖などを想定した共同経済活動の事業化に向けた作業を加速させる合意にこぎ着けるのがやっとだった。共同経済活動の前提となる両国の法的立場を害さない「特別な制度」の協議も、実質的には進んでいない。
安倍外交の最大の旗印である拉致問題も心許ない状況が続く。
6月12日に予定されていた米国大統領・トランプと朝鮮労働党委員長・金正恩との米朝首脳会談開催の成否は予断を許さない。韓国、中国を含む関係各国の駆け引きが激化する中、今に至るまで日本の存在感は乏しい。5月上旬に官邸から外務省に「報道関係者から『蚊帳の外』と言われても、反応するな」との指示が下されたのも、焦りの裏返しに他ならない。安倍自身、「テンポが早過ぎる」と周囲に漏らすなど戸惑いを隠せなかった。
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source : 文藝春秋 2018年07月号