麻生は辞意を漏らし、石破はアクセルを踏む。安倍の退任説も出始めた
3月27日午前。国税庁長官を辞任した佐川宣寿(のぶひさ)が参議院第一委員会室に入ると、一斉にフラッシュがたかれた。森友学園への国有地売却にかかる決裁文書の改ざん問題についての証人喚問が始まった。
「刑事訴追の恐れがありますので答弁は差し控えさせていただきます」
従前から予想されていた通り、佐川は文書改ざんの経緯、自身がどう関与したかについては、同じ言葉を何度も繰り返し、証言拒否は50回を越えた。
喚問に臨む与党の戦略は明確だった。質問に立った前五輪担当相・丸川珠代は「安倍総理からの指示はありませんでしたね」「総理夫人からの指示もありませんでしたね」と佐川に質問。語尾の「ね」に自民党の願望がにじむ。丸川は佐川から「ございません」という証言を引き出すと「官邸の関与がなかったことは証言が得られました。ありがとうございました」と満足そうに語り、質問を終えた。
自民党側は、佐川に官邸の関与を否定させるという最低限の成果は得た。ただし、証言拒否を繰り返す佐川に、国民がフラストレーションを募らせたのも事実だった。
留任は「俺の美学に反する」
すべては3月2日に始まった。朝日新聞が朝刊1面トップで「森友文書書き換えの疑い」と特報したのだ。この日を境に政治の景色は一変した。
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source : 文藝春秋 2018年05月号