★出世コースは秘書官
選挙制度改革と省庁再編で官邸主導が強まった結果、霞が関で一気に存在感を増したのが秘書官だ。今年1月、菅義偉(よしひで)官房長官の秘書官に就任した高羽陽(たかばよう)氏(平成7年、外務省入省)もその一人である。
高羽氏は、斎木昭隆氏(昭和51年)が外務事務次官に就任した2013年に次官秘書官となり、斎木氏退任までの3年間を務め上げた。
外務次官の秘書官は将来を嘱望されるポストで、杉山晋輔駐米大使(52年)が、私大出身者でありながら初の次官候補に取りざたされるようになったのも、斎藤邦彦元次官(33年)の秘書官となったのがきっかけだった。
高羽氏はその後、北米二課長を経て、今回、菅長官秘書官として官邸入り。外務省出身者では、民主党政権時代から官邸に入っていた市川恵一氏(平成元年)が、菅長官に秘書官として3年近く重用されたことがあるが、同じく眼鏡にかなった人事と言えるだろう。早くも「将来の次官候補」と目される。
秘書官を複数回務める官僚が出るようになったのはここ20年の傾向で、その多くは「主人」である政治家が首相になった時、呼び戻されている。外務省でいえば海老原紳元駐英大使(昭和46年)が故小渕恵三氏の官房長官秘書官、首相秘書官を務めた。さらに、今井尚哉(たかや)氏(57年、旧通産省)は安倍晋三首相の第1次内閣で事務秘書官、返り咲いた第2次内閣では政務秘書官と、2度にわたる首相秘書官として誰もが恐れる存在となった。
高羽氏のように「主人」がかわっても、秘書官となる官僚が出てきたのは、それだけ秘書官の地位と役割が霞が関でまた一段と重くなったことを意味する。キャリア官僚がエリートコースに乗っているかどうかを判定する物差しは「秘書官経験の有無」になってきたと言える。
★仮想通貨バブルの責任
仮想通貨「ネム」が流出し、犯罪の温床となっている闇サイトにまで持ち込まれた。信用力を欠いたまま急騰を続けてきた「仮想通貨バブル」を金融庁はなぜ放置したのか。森信親(のぶちか)長官(55年、旧大蔵省)への批判がくすぶっている。
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source : 文藝春秋 2018年04月号