住まい、健康から葬式まで――。出会って半世紀の二人が、老人ホームで語り合う
石原 お互い、人生の終焉に差し掛かったね。自分の人生を振り返って、あなた毎日何考えてる?
佐々 やっぱり齢八十にして、越えなきゃいけない坂があるね。
石原 一挙に下り坂だな(笑)。
佐々 精神力とか知力は、そう衰えないですよ。でも体力に出る。聴力なんていうのは面白いですよ。家族と一緒にテレビを見るでしょう。孫は音量六とか七で聞いている。僕ら四十とか五十でしょう。彼らの耳にとっては拷問なんだって。
石原 情けない話だな。昔のことを思うと、いまの自分が忌々しくてしょうがない。日々、老い衰えていくのがわかる。でも佐々さんは、よく我慢していると思う。僕は行動主義者だから、本当に自分で自分に我慢できなくなってきた。いつも家の周りを一時間ぐらい散歩しているんですが。だけど自分が走れなくなってきたから、走ってる人間を見ると憎らしくなるね。
佐々 千メートル泳ぐのに、息が続かなくなったと言っていたけど。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2015年07月号