安倍晋三と長州人

権力への執念、政敵への徹底的な攻撃

半藤 一利 作家
保阪 正康 昭和史研究家
御厨 貴 政治学者
政治 オピニオン 歴史

伊藤博文、松岡洋右、岸信介。長州閥はいかに政・官・軍を牛耳ったか

安倍晋三氏 ©文藝春秋

 半藤 総選挙で大勝した安倍首相は、以前から高杉晋作の墓を詣でるなど、事あるごとに長州藩の精神を引き継いでいることをアピールしてきました。今年のNHK大河ドラマも、吉田松陰の妹・文が主人公の『花燃ゆ』ということで、近年になく長州に注目が集まっています。そこで、今日は我々三人で長州とは何ぞや、ということを論じていきたいと思います。

 保阪 初代の伊藤博文から安倍さんまで、八人の首相を輩出していますから、近代日本を牽引してきたということは言っていいですね。

 半藤 まずは、幕末維新期から、見ていこうと思いますが、手始めに皆さんに披露したい歌があります。

「♪秀麗の地に偉人出で 維新の偉業成せるかな 誇りと使命忘れめや」

 都道府県はそれぞれ歌を持っていますが、ご多分に漏れず山口県民の歌というものもあって、これがそうです。県民性をよく表していまして、明治維新は俺たちがやったんだぞ、近代日本は俺たちがつくったんだ、という心情がこれほどよく表れているものはないんです。

 御厨 維新期の長州藩は、吉田松陰、高杉晋作のようなファナティックな革命家が出たかと思えば、伊藤博文や山縣有朋のように明治政府のガバナンスを作る人間を出している。実に多士済々です。

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source : 文藝春秋 2015年02月号

genre : 政治 オピニオン 歴史