増税延期に反対だった幹事長が語る「アベノミクスの行方」(聞き手・田原総一朗)
田原 まず、谷垣さんに聞きたい。解散の大義は一体何なのか。
谷垣 解散にあたっては、“内閣総理大臣が自分の政治生命を賭けてでも国民に問いたい”という気迫が一番大事だと思うんです。
増税可否の判断材料にしていた一四年七~九月期の実質GDPの速報値は、四~六月期と比べて、年率換算で一・六%減という想定外のマイナス成長でした。この数字を見て、安倍さんは「アベノミクスで雇用も増えてきたし、給与も上がってきたのに、なかなか個人消費に結びついていない」と悩んでおられた。それで最終的に、このタイミングでの増税は難しいと判断されたのです。
自民党の中には、「法律には、景気判断により増税を停止する『景気条項』も含まれている」と主張する声もありました。要するに、引き上げないのなら、あえて解散までやる必要はない、という意見です。しかし、増税の先延ばしは重要な決定だから、国民の信を問わなければならない――総理はそういうお気持ちが非常に強かったんだと思います。
田原 しかし、谷垣さんは民主党政権時代、当時の野田佳彦首相らと「社会保障と税の一体改革」に関する三党合意を取りまとめた張本人です。この三党合意で、消費税の一〇%への引き上げが決まりました。今回の増税先送りには抵抗を感じたんじゃないですか。
谷垣 率直に言って、厳しい国家財政を思えば、先延ばしにすべきではないと考えていました。しかし、私にとっても、一・六%減という数字は想定外だったんです。実際、多くのエコノミストがプラス成長を予測していた。特に個人消費の回復が遅れていることもあり、「ここで引き上げない」という総理の判断も、一つあるだろうと思いました。
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source : 文藝春秋 2015年01月号