特別寄稿 わが息子、石川遼になくて松山君にあるもの

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「二人は食事をしながらゴルフ談義をしています」父が明かすライバル物語――

石川遼選手と父・勝美さん ©文藝春秋

 今年もマスターズ(四月十日〜十三日)のシーズンを迎えました。松山英樹君は昨年末にすでに出場を決めていますが、遼は今の世界ランキング(八十三位=三月十四日時点)を考えると、出場は相当難しいと思います。

 遼本人は「最後までマスターズ出場は諦めない」と口にしていますが、マスターズに出たいからと言って、残りの試合に勝てるほど甘いものでもありません。メールで「オリンピックと違って、マスターズは毎年あるんだから」とメッセージを送ったら、遼からは「分かっている」と返事がありました。誰より遼自身が目の前の現実を分かっているのでしょう。

 今の遼にとって重要なのは、無理をしてマスターズ出場を目指すことではありません。来季以降に備えて、痛めた腰の状態を万全にしていくことです。遼にも「リハビリの一年にしなさい」と言っています。今季の四大メジャーは、百位以内の選手が慣例で招待される全米プロゴルフ選手権に出場できれば十分ではないでしょうか。

 昨季、遼は米PGAツアーに本格参戦しました。ところが、予選落ちが続くなど結果を残すことが出来なかった。もちろん実力不足もありますが、やはり腰痛に悩まされ続けたことが大きかったと思います。ただ、手首や肘ではなく、腰だからスイングは出来る。それで棄権することもなく出場を続けていました。

 実は腰痛の懸念は渡米前からあったのです。昨年一月、ゴルフ用品メーカーのキャロウェイと用具使用契約を結びましたが、その際にも、私はキャロウェイの社長さんに「腰の状態が良くないから、期待しないほうがいい。どれくらいの試合に出場できるか分からない」と伝えていました。契約金額が遼への期待とするなら、大きすぎる期待だと思ったからです。それでも、社長さんは「分かっている。でも、彼は必ずやってくれると思う」と言って下さった。遼もプロですから、彼らの期待に応えないといけません。

 以来、アメリカでは練習時間を削ってでも、毎日二、三時間、腰のリハビリにあててきました。おかげで腰の状態もだいぶ良くなってきた。今はリハビリを一時間に減らし、その分練習時間を増やしています。お医者さんが言うには、「このまま一、二年のうちに再発しなければ、腰痛とはサヨナラしたと見ていい」とのことです。

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source : 文藝春秋 2014年05月号

genre : エンタメ スポーツ