本には人の心が宿る
高田馬場から早稲田方面にしばらく歩くと、古書現世という古本屋さんがある。本書は、古書現世の2代目店主による2010年8月から2021年12月までの日記である。
古本屋さんだから、基本的に、店番、本の買い取り、古本祭りなどへの出店、という日々がくり返されるわけだが、若き店主の日々は驚くほどドラマチックだ。この店主の、へんな人遭遇率が異様に高い。宗教勧誘やものすごい値切りかたをする人たちはまだいいほうで、あきらかににせもののサイン本を売りにくる人、ブルーシートを体じゅうに巻きつけた人、天狗のお面をかぶった人、買い取りにいけば水浸しの本を売ろうとする人、自作の小説を書いた大学ノート100冊ほどを売ろうとする人等々、なんだかすさまじい。しかも店主は郵便局にいっても居酒屋にいっても、かなりの珍客に遭遇する。驚き呆れつつ、人ってこんなにも自由で多様なのかと感心してしまう。
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source : 文藝春秋 2023年2月号