黒川人事の余波、菅長官ラインの復権か、平成7年組の活躍……

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★黒川人事の余波

 政府が1月31日に閣議決定した黒川弘務東京高検検事長(司法修習35期)の人事が、議論を呼んでいる。

 検察庁法は検事総長の定年を65歳、他の検察官は63歳と定めている。法務省はかねて、2月8日に63歳の定年を迎える黒川氏を退官させ、後任に次期検事総長含みで黒川氏と同期の林真琴名古屋高検検事長を起用する人事案を固めていた。だが昨秋、官邸が黒川氏の次期総長起用を強く希望しているのを察知。人事案を練り直し、黒川氏を次期総長に当てる方針へ転換した。

 黒川氏の昇格には、任期を1年半残す稲田伸夫現検事総長(33期)が勇退するしかない。辻裕教法務次官(38期)は稲田氏に黒川氏の誕生日までに勇退するよう、年末年始を挟んで再三要請したが、稲田氏は拒み続けたとされる。このため、辻氏は1月中旬、黒川氏の定年を国家公務員法に基づき、半年間延長する奇策を選択。内閣法制局や人事院に極秘で根回しを重ねた。

 黒川氏の定年延長で、7月30日に満63歳となる林氏の検事総長就任は事実上消えた。「次期総長は林氏で決まり」との情報が広まっていた検察内には動揺が走る。当の林氏も閣議決定の後しばらく休暇をとって雲隠れした。

 林シンパの一部の検事が黒川氏の定年延長に不満を表明したとされ、法務省は彼らの動向に神経質になった。2月19日に開かれた「検察長官会同」では黒川、林両検事長が席を並べる中、東海地方の検事正が「このままでは検察への信頼が疑われる。国民にもっと丁寧に説明すべき」などと発言。辻氏が「延長の必要性があった」と答えて納める場面もあった。この検事正は黒川、林両氏と距離を置く“中立派”とされ、多くの現場検事の声を代弁した形だった。その後出席者からこの問題への発言はなく、法務省にはガス抜きになったようだ。

 一方、現検事総長の稲田氏は求心力を失った。今年4月に京都で開く国連犯罪防止刑事司法会議を主催国の総長として迎えるのに執念を燃やしていたというが、元検事総長らからは「1番悪いのは官邸だが、稲田が勇退し、黒川の定年前に引き継いでいれば、無様なことにならなかった」との声も聞こえる。

 このままいけば官邸・法務省は野党やマスコミの批判をものともせず、黒川検事総長に向けて動く可能性が高い。

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source : 文藝春秋 2020年4月号

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