今井と菅の断絶、次の次の検事総長、女性登用の本気度、多士済済の内閣府

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★今井と菅の断絶

 官邸の機能不全が止まらない。一斉休校要請、布マスク配布、撤回された30万円給付案。いずれも今井尚哉首相補佐官(昭和57年、旧通産省入省)&佐伯耕三首相秘書官(平成10年)コンビが主導する一方、菅義偉官房長官&杉田和博官房副長官(昭和41年、警察庁)は蚊帳の外に置かれていた。

 その亀裂が覆い隠せなくなったのが、東京高検検事長だった黒川弘務氏(司法修習35期)の辞任と検察庁法改正案の撤回だ。15年来の関係という菅氏と黒川氏。菅氏は「極めて優秀」と評し、黒川氏は「菅さんが総理になると良い」と漏らしてきた。問題の検察庁法改正案に関しても、菅氏は5月16日まで強行採決への意欲を見せていた。だが翌17日に事態は一変する。世論調査で支持率が大幅に下落し、週刊文春が黒川氏に賭け麻雀問題を直撃。安倍晋三首相も菅氏に採決見送りを示唆したのだ。

 以降、今井氏らは黒川問題を「菅マター」と整理することで、ダメージコントロールを図る。今井氏と親密とされる読売新聞は23日朝刊で首相の「菅さんが『やった方がいい』と言っている。仕方がない」というボヤキを紹介したほど。菅氏は「あの記事、見たか」と周囲に漏らした。

 さらに今井氏らは検察庁法改正案とともに、定年を65歳まで延長する国家公務員法改正案まで道連れにする作戦を取った。「定年延長を求める自治労など官公労を支持団体に抱える立憲民主党が困るだろう」という見立ての下だが、二階俊博幹事長ら自民党執行部にも根回しをしない強行突破。これまで菅氏が果たしてきた自民党や公明党の執行部との調整がないままの結論は禍根を残した。

「9月入学」を巡っても迷走が続く。エンジン役は今井氏のラインだったが、杉田氏は各省事務次官級を集めた検討会議を設け、自民党側も動き出した。ところが支持率が下落すると、今井氏らは9月入学に二の足を踏み始める。杉田氏をヘッドとする各省事務次官も「一体どういうことなのか」と困惑を隠せないでいた。結局、首相は導入見送りを決めた。

 時に意見を異にしながらも一強政権を支えてきた今井氏と菅氏。だが、2人の断絶はついに一線を超えた。

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source : 文藝春秋 2020年7月号

genre : ニュース 社会 政治