山口組マフィア・サミット計画

外事警察秘録 第10回

北村 滋 前国家安全保障局長
ニュース 社会 国際 韓国・北朝鮮

宅見勝のボディーガードが怒り出すと、係官は一瞬にして組み伏せた

 1992年3月から95年2月まで、在フランス日本国大使館に一等書記官として勤務した。3月2日に着任し、前任の五十嵐邦雄一等書記官(後に皇宮警察本部長)と引継ぎを済ませると、すぐさま、めまぐるしい日々が始まった。4月28日からは、宮沢喜一内閣総理大臣の訪仏もあった。

 警察庁から派遣された一等書記官は、フランス大使館では内政班長を務める。その分掌は、治安・警備にとどまらず、フランスの国内情報の収集や、政治情勢の分析だった。最大のカウンターパートは巨大官庁、内務省だ。

 総理の訪問前ともなれば、首脳会談を含め、日程が安全、確実に進行するよう内務省とも連携し、情報の収集と分析を行い、警備計画を総括する。

 大統領選挙はもとより、上院、下院、欧州議会議員選挙等の主要国政選挙や統一地方選挙の前には、外務省欧州局西欧一課(現在の西欧課)と連絡を取り合い、情勢認識を重ねる作業にも没頭した。

 在任中、私は、日仏共同オペレーションを通じて欧州屈指の治安・情報機関、「国土監視局」(Direction de la Surveillance du Territoire、DST(当時))――2008年に「総合情報部門」(Renseignements Généraux、RG)を吸収し、現在の国内治安総局(Direction Générale de la Sécurité Intérieure、DGSI)に改編される―の実力を垣間見ることになった。スパイやテロリストと対峙するDSTは、治安攪乱のわずかな予兆も見逃さず、フランスの国土から“危機の芽”を徹底的に排除する。DSTの有り様は、「警察は如何にあるべきか」という私の警察観形成にも色濃く投影されている。

仏当局と日本赤軍の因縁

 1992年7月28日、国際テロを担当する警察庁外事第二課(当時)の石川威一郎課長補佐(後に近畿管区警察局長)が、フランスへ出張してきた。

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source : 文藝春秋 2023年6月号

genre : ニュース 社会 国際 韓国・北朝鮮