「女の一生」が人生のテーマだった
結婚や離婚、子育てに介護に……迸る想いを言葉に紡ぎ続ける伊藤比呂美(67)。3人の娘が独立し、20年暮らしたカリフォルニアで夫を看取って熊本に戻ったのは2018年。
「ろくな妻でも母親でもなかったけど、家族のことは自分が、という意識はあった。ここで暮らすようになって、『ああ、なんだ。あたしのことを優先していいんだ』って。ただその代償は、ものすごく寂しいということですよ」
同じ頃、詩人としても転機を迎えた。
「早稲田大学で教えるまで、詩がこんなにも自分の中心にあることに気づきませんでした。
大きなものに立ち向かう――私はそれを『無意識』と呼ぶし、『文学』と呼ぶ。子どもたちも、どうにかして自分の中の鬱屈という膿を出そうと詩を書いている気がします」
植物で溢れる部屋には犬猫4匹、人ひとり。だが、彼女の周りに人は絶えない。長く家を空ける時は教え子らが駆けつけ賑やかに留守番。その家にはいつも明かりが灯っている。
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source : 文藝春秋 2023年6月号