中国ではプーチンは人気者である。『プーチンの伝記:彼はロシアのために生まれた』がこの9月、北京新聞のノンフィクション部門のベストセラーのトップ10に入った。Pewの世論調査によると、ロシア支持がこの1年で47%から66%に跳ね上がった。
中国人の目からすると、クリミア併合に続いてウクライナを威圧し、西欧の禁輸に対抗してユーラシア同盟形成を進めるプーチンは頼もしく映る。
習近平体制になってから、中国のロシア接近はさらに急になっているように見える。習近平は、昨年、国家主席になってからの初の訪露の際、ロシア作戦指揮センターを訪問した。ロシアがここを外国の指導者に見せたのはこれが初めてのことだった。
中国はロシアと共通の利害と懸念を持っている。テロリズム、分離主義、宗教上の急進主義のいわゆる“三悪”はともに容赦なく弾圧する。アフガニスタンからの麻薬ルートには力を携えて戦う。そして、何よりもユーラシアから米国の影響力を排除しようとする点で、両者の思惑は重なる。
上海協力機構(SCO)が中ロ協力のシンボルとなっている。これは“三悪”退治に照準を合わせている。反米同盟ではないが、この地域での米国の影響力を殺ぐことも視野に入れていることは間違いない。
なかでも中ロを誘引する磁力となっているのはエネルギー取引である。両国は、ウクライナ危機後、ロシアのガスを30年間にわたって中国に供給する取り決めに調印した。それまで10年近く妥結できなかったのに、プーチン直々の決裁によりバーゲン価格で決まったという。ユーラシア大陸のエネルギー地政学が中ロの特殊関係を生み出しつつある。
対ロ禁輸と対中リバランシングは、攻撃的にしすぎると、中ロの特殊関係をさらに強固にする可能性がある。
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source : 文藝春秋 2014年12月号