中国はこのほど、急増するアジアのインフラ需要に応えるためのアジアインフラ投資銀行(AIIB)の準備会合を北京で開いた。ASEAN全加盟国を含む21カ国の財務相が参加し、基本合意に署名した。
アジア開発銀行(ADB)の試算によると、アジアが2020年までに必要とするインフラ需要は8兆ドルを超える。しかし、ADBは毎年100億ドルを貸し出すことができるかどうか、である。ADBの親銀行である世界銀行は、最大の出資国である米国の議会が増資に応じる気配はない。
中でもインドのモディ政権はインフラ建設を国家戦略の要に据えている。ここではインフラ資金がいくらあっても足りない。インドがAIIBに加盟したのもうなずけるところである。
ところが、これまでのところ、米国、日本、韓国、オーストラリアは不参加を表明している。米国と日本はこの構想自体に反対しているのではない。現時点では、留保しているといった方がより正確である。
彼らは、なぜ、留保するのか?
・まず、ガバナンス。1000億ドルの出資金のうち半分以上を中国が占める。これでは中国本位の銀行であり、地域の銀行とは言えない。
・次に、透明性。物事がすべて中国の差配で決められるのではないか。意思決定過程を透明にし、それを監視する機能が備わっていない。
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source : 文藝春秋 2015年1月号