岡倉天心(1863年〜1913年)
松方幸次郎(1866年〜1950年)
大原孫三郎(1880年〜1943年)
棟方志功(1903年〜1975年)
川久保 玲(1942年〜)
アートがなくても人は生きていけるかもしれない。けれど、アートがあると何が起こるのか。「代表的日本人」という興味深いテーマを聞いて、芸術文化によって日本を隆盛させた人たちが思い浮かんだ。
筆頭が岡倉天心である。文部省の官僚であり、美術史家として日本芸術を世界に知らしめた。
私がまだ作家になる前のことだ。
2000年、当時所属していた森美術館設立準備室からニューヨーク近代美術館へ派遣された。新しい美術館設立のために、運営の仕組みを学び、企画展のリサーチをしていた。
モダンアートの殿堂ともいわれる場所で貴重な体験ではあったものの、私は一人、奮闘していた。差別ではないけれども、ナショナリティの違いやカルチャーギャップを感じる日々である。海外経験のある方なら身に沁みたこともあるだろう。生活習慣や物事の捉え方など異なることが多いなかで、日本人としての立ち位置に悩んでいた。
そんなとき、本屋さんで天心の『The Book of Tea』(1906年刊)に出合った。茶道を軸に器や花に対する美意識、茶室での人間関係から、日本人が一杯の茶に満たされ、その精神を暮らしに取り入れることまでわかりやすく説かれている。
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source : 文藝春秋 2023年8月号