楽天の迷走人事、“体育会系”買収劇、NTT株の行方は、ツルハを巡る攻防

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★楽天の迷走人事

 モバイル事業の腹心が退任――。8月上旬、楽天グループ(三木谷浩史会長兼社長)傘下の楽天モバイルが発表した人事に衝撃が走った。2018年にグループ入りし、モバイル事業立ち上げ当時から事業を牽引してきたタレック・アミン氏が共同CEOの座を突如外れたからだ。アミン氏は「世界の携帯業界にとってキーパーソン」と三木谷氏が褒め称え、三顧の礼で迎え入れた人材だった。

 後任は共同CEO兼CTOとなるインド出身のシャラッド・スリオアストーア氏。日本IBM(山口明夫社長)等を経て22年に楽天に入社した、もう一人の共同CEOの鈴木和洋氏と共に経営の舵を取る。

 アミン氏の退任理由について広報は「個人的な理由」とし、三木谷氏も「(後任の)スリオアストーアはよりオペレーションに近く、実務的にポジティブ」と語る。ただモバイル事業が巨額赤字に陥り、傘下の楽天銀行(永井啓之社長)や楽天証券ホールディングス(楠雄治社長)を株式上場させねばならぬほど、楽天グループ全体の資金繰りは危ぶまれている。それゆえ「アミン氏は火事場から逃げ出したのでは」(IT関係者)とも囁かれている。

 ここ最近の楽天モバイルのトップ人事は、事業の苦境をなぞるように迷走が続いた。22年3月には三木谷氏と同じ興銀出身の山田善久氏が社長を外れ、アミン氏がCEOに、楽天市場事業からの叩き上げである矢澤俊介氏が社長となる。ただ23年4月には、前述の鈴木氏が矢澤氏の上に就く形で共同CEOに就任。そして今回、もう一人の共同CEOのアミン氏がスリオアストーア氏に置き換わったのである。モバイル事業は外部人材の登用が多いため、生え抜きの矢澤氏に期待も集まったが、今のところ成果を出せていないのが現状だ。

 楽天グループとネット業界の双璧をなすZホールディングス(出澤剛社長CEO)も人事が活発化している。今年10月には子会社群と合併、LINEヤフーという商号の会社が誕生する。既に4月、Zホールディングスの共同CEOだった川邊健太郎氏は会長職に就いており、ヤフーの小澤隆生社長は9月末に退任する予定。LINEヤフー発足時は川邊会長、出澤社長CEOの体制になるが、この2人もトップ在任期間が長い。今後、LINE代表取締役の慎ジュンホ氏にCEOを譲る可能性もある。

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source : 文藝春秋 2023年10月号

genre : ニュース 経済 企業