探検家に憧れ、小学校の頃の夢は宇宙飛行士。生来の冒険心はアフリカの原生林で花開く。

「木登りが得意で近所の一橋大学の木はすべて登りました（笑）。探検ごっこ、ターザンごっこ、なんでもござれ。大車輪もできた」

　父はモーレツ社員。専業主婦の母、1歳半上の姉と4人家族だ。

「親父は朝、僕が寝てる頃に家を出て、夜寝たあとに帰ってくる。休日もゴルフ三昧。たまに暇ができると高尾山や鷹取山に連れて行ってくれました。酒好きで、頂上でウイスキーの小瓶を美味そうに飲んでいた。戦時中は満州で苦労したから、僕が屋久島やアフリカで露営生活をしていると知って随分反対されました。『せっかく文明的な暮らしを手に入れたのに、なんという馬鹿なことを』ってね」

　都立国立高校では高校紛争の真っ只中で青春を送る。

「家や血縁に縛られず自由に生きられないのか。当時の若者はそんな葛藤を抱えていた。日本の霊長類学の創始者である今西錦司先生も、研究の動機は家族、人間性の原点を求めることにありました」

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3. 小さな大物　第434回