1925年から13年間、奈良に住んだ志賀直哉。邸宅の土地を探したのは「江戸三」の二代目・大和平太郎だ。『暗夜行路』を執筆中だった志賀の元には作家や画家が集い、小林秀雄も江戸三を訪れた。
「若い文人さんを連れてきた志賀先生から『余り物で良いから何か食べさせてやって』と頼まれて作り始めました。当初は会席料理の端材を使った質素なものでした」(四代目の大和隆社長)
ほうれん草を土台に、伊勢海老や鯛、鱧などを盛り付けた姿を、新緑の若草山に例えて若草鍋と命名したのが志賀である。16種類の具材から染みだした出汁の香りが食欲をそそり、シメの雑炊まで一気に平らげた。
〈食ひものはうまい物のない所だ〉。かつて随筆「奈良」にそう綴った志賀だが、若草鍋だけは例外だったようだ。
(住所)奈良市高畑町1167番地 ☎0742-26-2662
若草鍋が提供されるのは毎年10月1日から3月31日まで
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source : 文藝春秋 2023年12月号