開高 健|鮨 神奈川・茅ヶ崎 「すし善」

作家が愛した名店 第8回

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横浜の市場から仕入れた、旬の魚のみを提供。手頃な値段で上質な鮨を味わえる。「今の季節はコハダがおすすめです」(鮨はすべて時価) 撮影=深野未季

開高健 Ⓒ文藝春秋

 現在は記念館となっている開高健の自宅から、ラチエン通りを北に歩いて15分のところにある「すし善」。1974年から15年間を茅ヶ崎で過ごした作家は、肩こりを解消すべく通い始めた水泳教室の帰り、疲れた身体でフラリと店に寄り、おやつ感覚で鮨を平らげた。

「必ず入口手前から2番目のカウンターに座り、先代の父と談笑しながら召し上がっていました」(二代目店主・冨田勝人氏)

 食通で有名な開高。店を訪れるファンから「どのネタ、どの酒を好んでいたか」と聞かれることも多いが、店主曰く鮮度の高い旬の魚を、酒ではなく熱い茶と共に愉しんでいたという。

 仕事が立て込んだ時は出前も頼んだ。店主は編集者が出入りする自宅に多い時で週5回も鮨を届け、執筆で缶詰状態の美食家の胃袋を満たした。

「すし善」の店構え Ⓒ文藝春秋

店に掛けられた色紙には、作家活動前に壽屋(現サントリー)のコピーライターとして働いていた開高らしい、ユーモアのある言葉が書かれている

(住所)神奈川県茅ヶ崎市松が丘1-1-93 ☎0467-87-2450
(休)月、火、水曜

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source : 文藝春秋 2024年1月号

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