吉田健一|生ビール 東京・神田神保町「ビヤホール ランチョン」

作家が愛した名店 第4回

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オーナーが必ず注ぐ生ビール(700円) 撮影=石川啓次

〈このビヤホールの空気は、ここまで書いて来たことで既に明かであるかも知れないが、それがのんびりしたものであるのに浸るのに夜よりも昼間が向いている〉(『酒談義』中公文庫)

 吉田健一は毎週のように大学での講義前にランチョンに立ち寄った。吉田は昼のビアホールの風情を綴るが、四代目オーナーの鈴木寛氏が幼い頃に見た吉田は、講義が終わった後もよく酒を飲みに姿を現したという。

酒をこよなく愛した吉田は、かつてランチョンが火事に見舞われた際にも、ビールを愉しんでいたという

 創業は1909年。当時では珍しい生ビールを出す洋食屋であり、そのメニューは幼少期、外国暮らしの長かった作家の舌に合ったに違いない。吉田は「酒を飲むと頭の回転が早くなるとともに耐久力が生じて素面では面倒臭くて言えないことまで並べ立てられる」と書くが、店で過ごした時間はその創作意欲を培ったのだろう。

吉田の発案で生まれたビーフパイ(1,500円) 撮影=石川啓次

「ビヤホール ランチョン」の店構え Ⓒ文藝春秋

(住所)東京都千代田区神田神保町1-6 ☎03-3233-0866
(営業時間)11時半〜21時半(土曜〜20時半)

(休)日曜・祝日

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source : 文藝春秋 2023年9月号

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