〈この店は池袋名物のうちでも、光った存在の一つであろう〉(『豊島新聞』昭和27年4月20日)
生涯で40回以上も転居を繰り返した“引っ越し魔”の江戸川乱歩が、亡くなるまで30年ほど執筆活動を続けた池袋。彼が地元紙に「ひいきの商店について」書いてほしいと依頼され、記したのが「三原堂」だ。
あまり酒を飲まず、自宅で小豆を煮て、かき氷に乗せて食べていたほど甘党だった乱歩。店に着流しでフラリと来ては、店主と雑談しながら、時には熨斗に名前を書くこともあった。お汁粉でも餡蜜でも何でも好んだ乱歩が、中でもお気に入りだったのが、すった山芋と砂糖を米粉と合わせた生地と、上品な甘さの餡が特徴の薯蕷饅頭。番頭が家まで饅頭を届けに行くことも、しばしばあったほどだ。
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source : 文藝春秋 2023年11月号