蔵書票 (ex libris) とは本の見返しに貼って所有者を示すもので、その起源は15世紀のヨーロッパである。美智子さまの蔵書票は、お印の白樺をモチーフに画家の堀文子さんが描いた。
文=渡邊満子 写真=橋本 篤
読書は羽ばたく翼を授ける
1998年9月、「子供時代の読書の思い出」と題されたビデオ講演で美智子さまは、読書について次のように語られた。
「それはある時には私に根っこを与え、ある時には翼をくれました。この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、大きな助けとなってくれました。
読書は私に、悲しみや喜びにつき、思い巡らす機会を与えてくれました。本の中には、さまざまな悲しみが描かれており、私が、自分以外の人がどれほどに深くものを感じ、どれだけ多く傷ついているかを気づかされたのは、本を読むことによってでした」(『橋をかける』文春文庫より抜粋)
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source : 文藝春秋 2024年1月号