葛飾応為 光と影を操る女浮世絵師

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葛飾北斎の娘で、自身も浮世絵師として筆を取っていた葛飾応為。

父もその才能を認めた女絵師は人々を魅了し続ける。
 

解説=渡邉 晃 (太田記念美術館上席学芸員)

 

光と影の世界

 吉原遊郭を描いた応為の代表作『吉原格子先之図』。行灯や提灯の光によって花魁や男性たちがシルエットになり、地面には影も映っていますが、これは非常に珍しい表現方法です。日本美術は伝統的に暗い場所を暗く描かないのが特徴で、明暗を描き分けることは一般的ではありませんでした。しかし応為は光と影を丹念に描いており、まるで西洋画のようでもあります。実は父である北斎は早くから西洋画に関心を持ち、影を描くなど洋風の表現を取り入れていました。応為も西洋画や父をはじめとした様々な絵師の表現に触れ、独自の幻想的な明暗表現の境地にたどり着いたのでしょう。

葛飾応為『吉原格子先之図』|文政〜安政 (1818〜60) 頃 太田記念美術館蔵

※本作は太田記念美術館「葛飾応為『吉原格子先之図』─肉筆画の魅力」にて11月26日まで展示中

高井蘭山著・葛飾応為画『女重宝記』|文政12年(1829)序・弘化4年(1847)刊 太田記念美術館蔵
戯作者の高井蘭山が女性の日常生活に必要な知識を記したマニュアル本の挿絵。女性の服装や髪型が丁寧に描かれ、応為の画力の高さが窺える。応為の作品として確認されている版画作品は本作を含めて2点のみ

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source : 文藝春秋 2023年12月号

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