葛飾北斎の娘で、自身も浮世絵師として筆を取っていた葛飾応為。
父もその才能を認めた女絵師は人々を魅了し続ける。
解説=渡邉 晃 (太田記念美術館上席学芸員)
光と影の世界
吉原遊郭を描いた応為の代表作『吉原格子先之図』。行灯や提灯の光によって花魁や男性たちがシルエットになり、地面には影も映っていますが、これは非常に珍しい表現方法です。日本美術は伝統的に暗い場所を暗く描かないのが特徴で、明暗を描き分けることは一般的ではありませんでした。しかし応為は光と影を丹念に描いており、まるで西洋画のようでもあります。実は父である北斎は早くから西洋画に関心を持ち、影を描くなど洋風の表現を取り入れていました。応為も西洋画や父をはじめとした様々な絵師の表現に触れ、独自の幻想的な明暗表現の境地にたどり着いたのでしょう。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2023年12月号