国宝巡礼

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国宝をすべてお見せします——。創立150年を記念し、東京国立博物館が国宝89件を公開する。この史上初の試みは日本の美をひも解く貴重な機会となる。
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上野に鎮座する東京国立博物館。写真の本館のほか、平成館や東洋館、表慶館など多くの施設を擁する

 国宝と聞いて、何を思い浮かべるだろうか? 慈悲深い仏像や豪奢な屏風、浮世絵など日本にはあまたの名作がある。だが、国宝となると意外に少ない。2021年時点で建造物など含めて1125件。全国各地に存在し、そのうち89件を東京国立博物館が所蔵する。

 美術史家で世界最古の美術誌『國華』顧問でもある小林忠先生は語る。

「国宝とは、重要文化財から秀逸な美しさや歴史的、学術的価値が極めて高いものが選定されます。日本の美を象ってきたものばかりです」

 芸術作品は戦争や盗難に弱く、もろく儚い。紛争地域では今も文化財が破壊されている。幸いに、日本の国宝はさきの大戦に耐え抜いてきた。先達が守り抜いた作品群は、まさに国の宝だ。平安を祈念し、人生を謳歌し、変革を恐れない心を写した美の極致。なかでも、注目すべき4件を小林先生が選んだ。(特集記事も併せてご覧ください)

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source : 文藝春秋 2022年11月号

genre : ニュース 社会