遣唐使が日本に持ち帰ったといわれる唐紙。谷崎潤一郎は『陰翳礼讃』で「唐紙や和紙は一種の温かみを感じ、心が落ち着く」と書いた。日本人にとって「唐紙」とは。1000年の伝統を受け継ぐ唐紙の、いまと未来を訪ねた。
取材=相澤洋美 写真=佐藤 亘
とこしえの光を湛える美しい装飾紙
1624(寛永元)年に京都で創業以来、唐紙を作り、今や日本で唯一続く唐紙屋の雲母唐長(きらからちょう)。受け継がれてきた板木(はんぎ)を使い工業製品やデジタルでは伝えきれない人々の願いや物語を写す。
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source : 文藝春秋 2023年6月号