「あなたのため」は呪いになる
「運動会の徒競走で転んでビリになってしまったから……」
私が代表を務める「子育て科学アクシス」に相談に来られたAさんは、消え入りそうな声でおっしゃいました。小学生の男の子を育てるAさんは、子どもの不登校に悩んでいました。何があったのだろう? 思い当たる節は、何度か対話を重ねるなかでAさんが呟いたひとことでした。
徒競走ではいつも1番だったその子が、その年の運動会では転んで最下位になってしまった。「もうだめだ、学校に行けない」と、そのまま不登校になってしまったというのです。たかが徒競走で、と思われるかもしれませんが、このような相談は他にも多く寄せられます。
たとえば、小学5、6年生の林間学校や修学旅行の部屋割りを決めるときのこと。
「みんなで5人組を作ってみよう」と言われた子どもたちが教室内を動き回る中、ある子はぽつんと1人で立ち尽くしている。見かねた先生が、「ほら、◯◯くんも入れてあげて」とみんなに声をかける。それが恥ずかしくてたまらなかったその子は、その後、3年間も学校に行けなかった――。
どちらもささいな躓(つまず)きなのに、本人にとっては大きな傷となってしまったのです。
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source : 文藝春秋 2024年2月号