島倉千代子「からたち日記」
(1958年、作詞:西沢爽 作曲:遠藤実)
春日八郎「山の吊橋」
(1959年、作詞:横井弘 作曲:吉田矢健治)
花村菊江「潮来花嫁さん」
(1960年、作詞:柴田よしかず 作曲:水時富士夫)
「からたち日記」作曲者の遠藤実は発売当初、ペンネームが米田信一とされていた。
島倉千代子は歌唱力などという最近の物質文明の極みでは語れない、心を感じさせる歌声であり、その儚い魅力が大歌手へと押し上げた。からたち(枸橘)といえば北原白秋/山田耕筰の名曲「からたちの花」が1925年に発表されていて、その西欧風の古典的な唱歌へのオマージュとも思える。カラタチという植物は外来種で、ライムのような柑橘類だ。
「山の吊橋」昭和歌謡には都会ではない地方が舞台の歌が多かった。山の吊橋を歌った唯一のヒット曲。
最近話題の熊と人の関係悪化とは無縁の時代背景。この主メロはチャップリンの「街の灯」(1931)で使われた旋律と同じだが、元はスペインの歌姫ラクェル・メラーの「花売り娘(La Violetera)」だ。遠い西洋の歌が日本人の心に共鳴している稀有な証拠を示す歌だと思っている。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2024年2月号