母の舟が時の川霧を押し分けて現れた
空ろな刳り舟のようだったが まっすぐ流れてきたので
その日から 私は死んだ母の舟に乗って生きている
――無理に生きようとしなくても
舟に乗って進むだけの日を過ごしてもかまわない
泳ぎの得意な人だったので 物語の海も達者に泳いでいた
汽水域から遠く見える 恐ろしい地点であるはずの
果てが崖となって激しく落下する海域を
いまは解き放たれたのか
自在に泳いでいる小さな姿も見えた
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2019年9月号