月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。世論調査で政権交代を望む声が高まるも当の岸田は6月解散を諦めず
自民党派閥の裏金事件が直撃した4月28日の衆院3補選を受け、首相の岸田文雄は9月の党総裁選での再選を断念するのか。それとも、あくまでも権力の座に固執し、国会会期末に衆院解散・総選挙に打って出るのか。
孤立した宰相の腹の底を与党議員たちは測りあぐねる。対する野党側は次期衆院選で自民、公明両党を過半数割れさせるチャンスだと浮き立つが、自公に代わる政権の具体像を描けない。
会期末を6月23日に控える中、岸田、与野党の思惑が絡み、もつれ、三すくみとなり、誰一人として眼前の政局を見通せていないのだ。
ひと月前、岸田は異様にハイテンションな4日間を米国で「国賓」として過ごした。岸田の頭の中では、日本は米国と手を携え、国際秩序を維持する大国だった。そのトップは自分だ。
「米国は独りではありません。日本は米国と共にあります」
米連邦議会上下両院合同会議での演説では得意満面にこう宣言した。凋落したとはいえ世界第4位の経済大国の指導者が米国と負担を分かち合うと言うのだから、民主、共和両党の拍手喝采は当然だった。国内では口にしないジョークも受けに受けた。
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source : 文藝春秋 2024年6月号