幕引きは意外に早かった。
ロサンジェルス・ドジャース球団やMLB機構が、できるだけ早く、かつ大谷翔平に害の及ばない形で事件の決着を見たがっていることは察しがついたが、連邦検察やIRS(内国歳入庁)やHSI(国土安全保障捜査局)は、もっと時間をかけて、よりきびしい捜査を行うのではないか。水原一平容疑者(大谷翔平の元専属通訳)の起こした違法賭博事件と窃盗事件に関して、私は漠然とそう考えていた。
米国西海岸時間の4月11日に行われた連邦検察の記者会見や、その後の報道で、事件の概要は以下のとおり明らかにされた。
水原容疑者は、違法賭博で総額4000万ドル以上の負債を作った。彼は、以前から大谷翔平の銀行口座を無断で操作していたが、その口座から負債の一部に当たる額(1600万ドル)を、ブックメーカー(賭けの胴元)に不正送金した。要するに、大谷翔平の口座から巨額の金を盗み、ブックメーカーに借金の一部を返していたのだ。
この行為に対して、銀行詐欺容疑が適用された。登録連絡先の変更、送金限度額の変更、取引の通知に関する設定の変更など、さまざまな点で水原容疑者が銀行を欺いた、と判断されたのだろう。なかでも、妙に生々しく感じられたのは、「大谷翔平になりすまして銀行に電話をかけ、多額の送金を承認するよう、行員を説得した」とされるくだりだ。
水原容疑者は、大谷翔平の声色を使ったのか。あえて英語が不得手なふりを装い、面倒な手続きを行ったのか。そのあたりの細部は、いずれ明らかにされていくのだろうか。
それにしても、この事件の第一報を聞いたときは衝撃が大きかった。
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