「指圧の心 母ごころ おせば生命(いのち)の泉湧く」のスローガンで知られた浪越徳治郎(1905〜2000)は、患部を指で押して治療する「指圧」の創始者。徳治郎の孫で浪越指圧アソシエイツの代表を務める浪越孝氏が思い出を語る。
祖父は、たくさんの著名人を患者に抱えていました。政界では、吉田茂先生をはじめとする歴代総理だけで11人。芸能界だと六代目・尾上菊五郎さんや、世界的な俳優の早川雪洲さんなど。
文壇では菊池寛先生や山本有三先生のほか、吉川英治先生については話をよく聞きました。夜中や朝早くに電話で呼ばれて、ご自宅へ伺っていたのです。
頸部の筋肉だけ10分ほど指圧すると、行き詰まっていた小説の構想がパッと浮かぶらしく、「今日はこれでいいから」と言って全身分の治療費を払ってくださった途端、原稿用紙に向かわれる。
そんなことが何度もあったので、
「『宮本武蔵』も『新書太閤記』も、半分は俺が書いたようなものだ。ワッハッハー」
と、祖父は笑っていました。
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source : 文藝春秋 2024年8月号