派閥全盛期と変わらぬ光景、英雄の敗戦分析はタブー?、現職検事「付審判」開始の衝撃

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手練れの業界ウォッチャーが、新聞報道にもの申す!

★派閥全盛期と変わらぬ光景

 今年の猛暑は忘れ難いが、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」というのは本当だと思う。岸田文雄首相の不出馬表明により候補乱立となった自民党総裁選を巡る報道である。

 例えば、読売が8月18日に配信した「自民党総裁選、林芳正・河野太郎・石破茂氏が立候補へ……閣僚ら10人超が出馬に意欲」と題する記事。これまで散々書いた大事なことをどこかに置き忘れてきたとしか思えない記述が続く。

 林氏については「解散を決めた岸田派の座長」とした上で「派内で後継への待望論が出ていた。出馬に必要な推薦人20人をそろえられる見通しだ」とあっさり書く。あれほど首相が見得を切った派閥解散だったのに、その座長が派閥の待望を受け出馬するおかしさ。これぞ「偽装解散」と記者は思わないのか。少なくとも、推薦人のうち岸田派がどれほどいるかはチェックしてほしい。

 麻生派に所属する河野氏に対しても「麻生(太郎)副総裁が出馬を了承し、同派議員を中心に推薦人を集められることになった」と記す。さすが唯一存続を決め込んだ派閥ならではと思うが、派閥会長の後押しまで有り難がるのはおかしくないか。河野氏だけでなく、何の批判も加えぬ記者の筆致が心配になってくる。

 石破氏の場合は、最大の注目点である推薦人集めの内実がよく分からない。周辺に語った「確保のめどがついた」との言葉を引き、「立候補を表明する意向を明らかにした。出馬が実現すれば、今回で5回目となる」とするばかり。麻生派をはじめ旧勢力からの切り崩しをどう防いだか。それが一番のニュースのはずなのに、石破氏本人の「自己申告」だけとは余りに物足りない。

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source : 文藝春秋 2024年10月号

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