そもそもAIって何ですか?

ルポの名手の絶筆

髙橋 秀実 ノンフィクション作家
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そのAIホントに必要? 日本の最前線を訪ね歩いた

 今や世の中は、なんでもかんでもAI化の勢いである。

 スマホで何かを検索すればAIが要約して解説する。NHKでもニュースは「AI自動音声」が読みあげたりする。車の運転もAIで自動制御されるようになるそうだし、投資もAIが判断するAI投資。医療現場でもAIによる画像診断が採用されているらしく、文章はおろか画像も音楽もAIで自由につくれるとのことで、私たち出版業界でもAI美女の写真集がベストセラーになっている。悩みがあればAIアプリ(Cotomoなど)がいつでも人生相談に乗ってくれるし、食べたい物があれば、AIが必要な食材を注文して配送するサービスもあるとのこと。正月のおせち料理も「AIと創った未来創造おせち」(イオン)が販売されており、AIは日常茶飯にまで浸透しつつあるのだ。

髙橋秀実氏(遺族提供)

 そもそもAIって何ですか?

 デジタルに疎い私などはまずそれを確認したい。恥ずかしながらAIが実体として何を指しているのか、よくわからないのである。そこで手元のスマホでグーグル検索してみると、こう解説されていた。

「AI(人工知能)とは、コンピュータがデータを分析して、人間の知的能力を模倣する技術です」

 AIとは技術のこと。ならばこの文章は間違っている。「コンピュータが」ではなく、「コンピュータにデータを分析させて、人間の知的能力を模倣させる技術」というべきではないだろうか。総務省の『情報通信白書』(令和6年版、以下同)にも「生成AIは、人間のように文章や画像を生成し、多岐にわたるタスクを自律的にこなすことができる」などと記されているが、この文章も主述関係がおかしい。AIが文章などを生成するのではなく、人間がAIに文章などを生成させるのだ。「自律的」などと言うと、まるでAIが自ら進んで文章などを生み出すかのようで、操作主体をAIにすり替えているのである。

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source : 文藝春秋 2025年1月号

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