日枝久・フジサンケイグループ代表への引退勧告〈渾身の告発〉

君臨33年――その罪と罰を知るジャーナリストが描く

中川 一徳 ジャーナリスト
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中居正広騒動 すべての責任はこの最高権力者にある

 フジサンケイグループ・日枝体制の崩壊が始まった。

 昨年末、『女性セブン』と『週刊文春』が2023年6月に起きたタレント・中居正広の女性とのトラブルと性加害疑惑を報じたことが端緒だ。フジテレビの港浩一社長は2カ月後に「人権侵害の可能性がある」ことを把握しながら、中居の冠番組を差し止めるといった措置を取らなかった。さらに女性側は、性被害を受ける過程にフジテレビ編成幹部(当時)の関わりを指摘していたため、会社組織のあり方が問われ、波紋を拡げた。

 年明けからトヨタ、日本生命をはじめとする名だたるスポンサー企業が雪崩を打って自社の広告をとり止め、フジテレビは経営危機の様相を呈している。フジサンケイグループ代表の日枝久(フジ・メディア・ホールディングス及びフジテレビ取締役相談役)をもってしても、歯止めをかけることができないのだ。1月27日、10時間半にも及んだ2回目の記者会見は、経営陣が最低限の危機管理能力も持ち合わせていないことを露呈。フジテレビの嘉納修治会長と港社長はあっけなく辞任した。

港浩一社長(左)と嘉納修治会長は引責辞任 Ⓒ時事通信社

 広告停止は拡大し続けている(1月20日までに75社が停止)。民放は広告収入で成り立つビジネスモデルであるのに、実質的に広告なしの番組が流れるという、放送史上、前代未聞の事態が進行している。

「こいつはおれを裏切った」

 巨大ダムに開いた小さな穴が、一気に決壊を引き起こした。

 フジサンケイグループは、フジテレビを中心にラジオ、新聞、不動産など多くの事業体を抱える異色のメディア集団だ。その盟主だった鹿内家3代目の議長・鹿内宏明を日枝が追放したクーデターを第1幕(1992年)、買収騒動に曝されたライブドア事件を第2幕(2005年)とすると、この空前の経営危機は第3幕となり、ついに主役が退場を迫られている。

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source : 文藝春秋 2025年3月号

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