日本主導で創設した史上初の救済モデル
■連載「ミスター円、世界を駈ける」
第1回 ウクライナ、ガザ……そのとき国際金融の現場で何が起きたか
第2回 戦時下のキーウ行夜行列車
第3回 為替介入 水面下の国際工作
第4回 今回はこちら
「今更、合意できないなんてありえない。世界が見ている。何とかならないのか」
このままでは途上国の債務問題が国際金融危機の引き金になってしまいかねない、日本の経済外交の威信にもかかわる、という危機感から、必死で、最後まで足掻いて説得に努めたが、合意に失敗した。かなりの程度、覚悟はしていたものの、役人としてはやはり痛恨の惨事だ。

367億ドルの対外政府債務を抱え、2022年にデフォルト(債務不履行)に陥ったスリランカを巡る債務再編交渉である。もともと、2023年10月11日、モロッコのマラケシュで開催されたIMF(国際通貨基金)・世界銀行(世銀)年次総会のマージン(隙間時間)で行う債権国会合関連会議が、合意のゴールポストだった。
晩夏くらいまで交渉は順調に進んできており、楽観視する情報が殆どで、私自身も近々の大筋合意を見据えて、当初は鈴木俊一財務大臣主催のサイニングセレモニー(合意締結記者会見)まで計画していた。スリランカをはじめ、関係国や国際機関、市場の期待は高く、プレスも大きな進展の発表を待ち構えていたのである。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
初回登録は初月300円・1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
電子版+雑誌プラン
18,000円一括払い・1年更新
1,500円/月
※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2025年4月号