3番サード、小和田雅子

新天皇・雅子皇后の「65人の証言」

伊藤 修文 元田園調布雙葉学園教諭
ニュース 皇室
陛下はお酒、雅子さまは生き物が大好き。ご出産秘話から御所の中の私生活まで……新天皇・皇后おふたりに接した人々が素顔を明かす
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 中学生時代の雅子さまは、野球好きの同級生たちとのソフトボール部の創設に一生懸命で、毎日のように練習に明け暮れていました。まだ若かった私は部員たちとキャッチボール、バットを手に一人ひとりにノックの嵐! 3番サードの小和田雅子には特別強いボールを打ったり、緩いゴロでダッシュをさせたり……。それに耐えられるだけのガッツあふれる生徒でした。他の生徒もやる気充分、だんだんチームの形が整ってきました。

 しかし、それでも練習試合では勝てません。一度も勝利の喜びを味わうことなく3年生の夏の大会です。1回戦の相手は常勝の強豪チームです。すごいスピードボールのピッチャーでしたが、生徒は果敢に立ち向かいます。試合中に激しい夕立。相手ピッチャーが雨でコントロールを乱したこともあり、強豪チームに勝ってしまいました。

 一度勝つと、あれよあれよと勝ち進み、世田谷区で優勝です。わずか6チームの小さな大会ですが、忘れられない思い出の1ページです。

 そのソフトボール部のOG会にお出ましくださった時、雅子さまもジャージ姿でグラウンドへ、私とキャッチボール。グローブにズシンとボールが響き、中学生の時の小和田雅子がよみがえってきます。親睦会では後輩たちへの自己紹介、「旧姓小和田雅子です」とおっしゃいまして、会場に和やかな笑いがわきました。

 不思議なほど、雅子さまは「小和田雅子」のままなのです。旧友たちも生徒の時のままの会話。どうもお立場を意識しているのは私だけ? 中学生だったみんな、立派な大人になって! それぞれの人生の道を逞しく生きています。でも、あの頃の純真な生徒の心はそのままであることをうれしく実感いたしました。

 短い時間でも、心の底から通じ合う仲間と一緒にいられる。その輪の中に唯一男性の私も加えてもらっているのです。お互い、生きていく勇気と喜びのようなものを戴きながら。

 雅子さまも大切な元生徒、ご健康とお幸せをお祈り申しております。

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source : 文藝春秋 2019年11月号

genre : ニュース 皇室