ウッズの奇跡の復活優勝は全世界に夢と勇気を与えた
優勝を決めた瞬間、左手でパターを持ちながら両手を広げガッツポーズしたタイガーの顔には、今まで見たことがない喜びの表情が浮かんでいました。彼の優勝するシーンを全盛期から何度も間近で見てきましたが、あんなにカッコ悪く、でも、無邪気なタイガーは初めて見ました。
昔のタイガーだったら喜びを爆発させてもどこか冷静な部分があって、テレビカメラがこっちにあるから俺の表情がカッコよく映るようにガッツポーズしようとか、カメラアングルまで無意識に計算しているようなところがあったけど、今回はメインカメラに背中を向けて喜んでいました(笑)。よっぽど嬉しかったんでしょう、若手選手がツアーで初優勝した時のようにあんなに興奮してクシャクシャな顔のタイガーを見て、僕は思わず涙が出ました。
こんなドラマのような復活劇は彼にしかできない。彼は全世界のスポーツ選手に夢と勇気を与えた。11年ぶりのメジャー大会制覇で通算では15勝目。帝王ジャック・ニクラスが持つメジャー最多勝利記録18勝の更新へ向けて、再びチャレンジする姿を見ることができると思うと、幸せな気持ちになりました。
4月14日、プロゴルファーのタイガー・ウッズが「マスターズ」に優勝、08年の全米オープン以来、11年ぶりのメジャー制覇を成し遂げた。1996年に20歳でのプロ転向以来数々の記録を塗り替え、00年の全米オープンから01年のマスターズまでメジャー大会を4連覇するなど無敵を誇った。しかし、09年の交通事故を機に浮気相手が次々浮上、性依存症の治療とプロ活動自粛に追い込まれた。復帰後もゴルファーにとって致命的な腰痛に苦しみ4度の手術を余儀なくされた。17年には投薬の影響で職務質問中にろれつが回らなくなり、運転マナー違反で逮捕。世界ランキングは1199位にまで落ち込んだ。それからわずか1年半、どん底を味わった王者の奇跡の復活に世界中が沸いた。00年から8年間、米国PGAツアーに参戦、最盛期のタイガーと戦い、今も親交があるプロゴルファー丸山茂樹氏(49)がその偉業を讃える。
優勝決定後、グリーン脇で家族に迎えられたタイガーは長女のサムちゃんと長男のチャーリー君と抱き合い喜びを分かち合いました。あのシーン、僕はタイガーの父親としての温かさをすごく感じました。
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source : 文藝春秋 2019年6月号