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韓国メディアが報じない“嫌がらせ”の実態

 1992年以降、ソウル市鍾路区にある日本大使館の前では、通称「水曜デモ」と呼ばれる慰安婦問題に関して日本政府に謝罪と補償を求める抗議活動が毎週のように行われてきた。そして2011年には、日本大使館前に慰安婦少女像が建てられた。

現在の慰安婦少女像 ©文藝春秋

 しかし現在、慰安婦少女像が見つめている先は、日本大使館ではなく、フェンスに囲まれた空地である。というのも、2015年に、1976年築造の老朽化した大使館の新築建て替え工事を行うため、大使館と領事部の機能を近隣のオフィスビルに一時移転しているからだ。そんな最中の4月10日、韓国の大手紙・朝鮮日報が「ソウルの日本大使館が新築計画を事実上放棄した」と報じたのだった。

〈日本政府が2013年から進めてきた在韓日本大使館の新築を事実上、放棄したことが分かった。(略)本紙が取材した結果、新しい日本大使館の建築許可は先月、取り消されていたことが明らかになった。(略)鍾路区庁は「着工延期事由があれば教えてほしい」と伝えたが、日本大使館は反応を示さなかったという。そして、今年2月の協議で日本側が建築許可を放棄したということだ〉

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 この記事を読むだけでは、「再三の工事要請にも関わらず、日本側が一方的に放棄した」ような印象を抱く。しかし、真実はそうではない。韓国メディアは報じようとしないが、日本大使館の新築をめぐっては、これまで日本側は韓国側から数々の“嫌がらせ”を受け、新築計画を妨害されてきたのだ。