肝心なのは太もも。何もしなければ年1%筋肉が低下
中でも、とくに筋肉量が多いのが太もも前面の「大腿四頭筋」で、中高年以降に衰えやすいことがわかっています。何もしなければ年1%ずつ低下していき、20代の頃と比べると50代では30%減、70代では半減してしまいます。ですから、30代、40代の人も、駅ではエスカレータばかりに乗らず、階段を昇るように心がけてください。
筋肉を鍛えると他にもいいことがあります。それは「冷え性(冷え症)」の改善です。やせている若い女性では、手足が冷える「四肢末端型冷え症」が多いのですが、実は運動不足が冷えの要因になっているケースも少なくありません。なぜなら、運動をして筋肉を動かさないと、いくら食べてもエネルギーを燃やせないからです(「『冷え性』『乾燥肌』はこう防ぐ」週刊文春2017年2月16日号)。
逆に、筋肉がついてくると、体内で発生する熱も大きくなります。しかも、エネルギーの消費量が増えるので、太りにくい体になります。エンジンの排気量が小さい軽自動車から大きな車に乗り換えると、馬力が高くなる代わりに燃費が悪くなり、ガソリンの消費量が増えますよね。それと同じで、筋肉を鍛えることは、効果的な「ダイエット」にもなるのです。
筋肉は高齢になっても大切で、下肢の筋肉が衰えると転倒のリスクが高まります。高齢者の転倒は、大腿骨などの骨折につながり、寝たきりの原因になるので、ぜひ予防しなければいけません。ですから、生涯にわたって筋肉を衰えさせないようにする必要があるのです。
週3~4回のスクワットで十分
といっても、健康を維持するだけなら、「RIZAP」ほどの厳しい筋トレは必要ありません。日常的に体を動かすように心がけ、週に3~4回ぐらいスクワットを中心とする筋トレをすれば十分です。太ももの筋肉を鍛えれば、「ひざ痛」の予防にもなります。
ただし、中高年の人はスクワットで足を曲げるときに、ひざ頭が足先より前に出ないよう注意してください。足を曲げ過ぎると、かえってひざを痛めてしまう恐れがあります。また、ひざ痛のある人や足腰を傷めている人、血圧、血糖のコントロールが悪い人、他に持病などのある人は無理せず、主治医と相談しながら行うようにしてください。
このように、若いうちから怠らずに筋肉を鍛えることが、「健康長寿の要」であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。さて、わたくしも、パソコンから少し離れて、スクワットを頑張ってみたいと思います。