「対立」「炎上」と報じられたが……
少し荒れた空気の中で藤田オーナーの「ゼルビアという名前は意外と覚えづらい」という意見や、下川浩之会長の「『東京』というブランドをつけないとみっともない」というコメントなど、揚げ足を取られかねない発言も頻出した。文字にして読んでみると中身のある対話もされているのだが、他人の喧嘩ほど面白い娯楽はない。多くのメディアが「対立」「炎上」として扱うことになった。
しかし「ビジネスvsスポーツ」の構図はミスリードだ。もちろん株式会社の意思決定を行うのは株主で、出資比率の高い人は発言権が上がる。ただし株式会社は社会の公器で、特定の個人がもてあそぶことは許されない。この社会は皆が関わり合って成り立っており、一方的な収奪は長続きしない。
ゼルビアのトップチームは株式会社だが、経営的な成長を追うな
藤田オーナーが言った「2024年のJ1制覇」を実現するには……
さらに藤田オーナーはミーティングで「2024年のJ1制覇」「2025年のACL制覇」を公言していた。J1を制覇するような体制を整えるためには、最低でも50億円レベルの年間予算が必要になる。Jリーグに限らずスポーツビジネスは成長産業で、それを見越すとより大きな金額を想定するべきだろう。
筆者の解釈を加えるなら「2018年度に7億5千万円だった
一企業一個人が年に60億、70億を負担するならば話は早い。しかしそれは持続可能性が乏しいし、それだけのスポンサーフィーを出す経済合理性はない。収入と支出のバランスが大きく崩れれば、成長どころかクラブの存続がむしろ危うくなる。町田を深堀りできていないクラブが「東京」「日本」「世界」を開拓できるのだろうか?そこは率直に言って疑問だった。