一間がまだ有効だ
測ってみると、1800mm、900mm、450mmという数字がやたらと出てくるのだ。
1800mmとはすなわち一間である。
むかしの尺貫法の単位だ。家を建てるときの単位になっている。「間口一間の居酒屋」などと言ったりもする。居酒屋兆治の世界である。
その数字が未だに現役であることに驚く。新宿のバス停の幅は450㎜だったし、路上のカフェの丸テーブルも直径900mmだった。
オープンエアのカフェでラテ飲んでいてもそのテーブルの大きさは江戸時代から続くものなのだ。江戸の呪いが21世紀まで続いていることが分かる。測ると分かる。
「ラテなんてのはしゃらくさくていけねえや」とべらんめえにもなるというものである(ならない)。
メートル元気!(がんばれ元気的なニュアンスで)
だが、メートル単位のものも頑張っている。
屋内は尺貫法が支配しているのでたいてい450か900である。そこでこの400を持ってくるとは古い風習から脱却しようという強い意志を感じる。
柵の高さの930mmが気になるが、これは70mm埋まっているということではないだろうか。
ここまでメートルで作られているということはきっと高さも1000mmであってほしい。
これが1800mmで急に尺貫法が出てきたらもうびっくりである。(ですよね?)
どうでもいいもの
このように、長さを測るだけで世界の意思を感じるのだ。ではこれはどうだろう。
なるほどね、これもきっちりと等間隔に植えてあるのだろう。美しく見えるように誰かが気を使ったはずだ。
実際に測ってみると、
5500mm、4650mm、5400mm、5000mm、3700mm、4600mm………。
バラバラである。なんなんだ。
世の中の街路樹がこんなものなのか、世田谷区の遊歩道がワイルドなのかわからないが、ひとつわかることは「バラバラでも人の目には結構気づかない」ということである。
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以上、測ることで見えてくる世界をわずかだがお見せすることができたと思う。
まだまだ測るものはあるのだ。明るさ、重量、温度、糖度!気圧……!!!
こうして書いているだけで尻の下がムズムズしてくる。テスト半分もできてないのにあと10分と言われたときのようだ。
このめくるめく世界を次回もお伝えしたい。そしてこのムズムズも何とかして測りたい。