人のために尽くすことを厭わない
橋本先生はこうも言う。
「いま思えば、開成の子たちは学内、とりわけ運動会などの行事を通じて『ミニ社会』を経験しているのでしょう。怒鳴られる側になったり、今度は怒鳴る側に立ったり……。そういう経験を繰り返して彼らは成長していくのでしょう。だからか、開成出身者に共通しているのは集団で行動する時に先頭に立って……というよりも、サポート役になる人が多いような気がしますね。人のために尽くすことを決して厭わない」
確かにわたしが取材をおこなった開成の卒業生たちは一様に礼儀正しく、気配りのできる人ばかりだ。
35万部超のベストセラー『歴史が面白くなる 東大のディープな日本史』(KADOKAWA/中経出版)の著者として有名な予備校講師の相澤理氏も開成卒業生だ。彼は言う。
「先輩と後輩のつながりがあったからでしょうね。卒業生たちの多くは、何か行動する前に相手をしっかり観察する、相手の心情や立場を慮る姿勢が身に付いていると思います」
開成生はルールの中で最善を見出して結果を出す
相澤氏は付言する。
「開成卒業生たちは、どんなに不利な状況に陥ったとしても、そこにあるルールの中で『最良の方法』を見出して、結果を出すことに長けています。これは運動会で培った姿勢の一つでしょう」
相澤氏によると、開成の運動会はその歴史の中で毎年のように「メンテナンス」が施されているという。
「開成の生徒たちは運動会ではルールを守りつつ、自分たちが勝つためにその裏技を考えるのが得意です。たとえば、棒倒しである『裏技』が成功したら、その翌年にはそれを制するルール変更がなされる……この繰り返し。開成の生徒たちが結果を出すために自ら『最良の方法』をつきつめて考え、それを実践しているということです」
冒頭の「たとえ話」に戻ろう。
〈開成生……組立説明書を一言一句しっかり読み込み、精巧で完璧な作品を製作する〉
この「組立説明書」は「ルール」「世の規範」などに言い換えられる。こう考えると、開成卒業生たちが中高時代に身にまとった性格がよく理解できるのではないだろうか。
相澤氏はこう断言する。
「相手への接し方、そして、対象の見方……開成で学んだことは人生で大いに役立っています」
INFORMATION
男子御三家の卒業生は、中高6年間でそれぞれ身につけた独自の「色」があるように感じます。それでは、あなたの性格は「麻布的」「開成的」「武蔵的」……一体、どれでしょうか?
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