いつもミスばかりする、人の話を聞かない、空気が読めない発言が多い……、あなたの周りにもこんな人、いませんか?
発達障害に近い傾向がある、“ちょっと人と違うな”と思う人と上手く付き合うにはどうしたらいいのか、発達障害に詳しいどんぐり発達クリニックの宮尾益知院長に話を伺いました。
子どもの頃は、うっかりさん
「あるADHD(注意欠如多動性障害)患者さんに、子どもの頃からケアレスミスが多い、いわゆる“うっかりさん”と言われていた20代の男性がいました。落ち着きはないものの、人当たりはよく、積極的でもあるので、クラスの人からは好かれていました。
しかし大学に入った頃からアルバイト先でミスが続いて叱責を何度も受け、結局クビになってしまった、大学のレポート提出を忘れてしまって単位を落としたなどのトラブルが続くようになり、疲れがひどくて朝起きられない、憂うつな気分が抜けないなど身体の不調が出るようになりました。
内科へ行っても特に問題ないと言われ、精神科に行ったものの『うつ病』と呼ばれ、抗うつ薬を飲んで治療を続けたものの快復せず、巡り巡って当院を受診しました。そこでADHDだということがわかり、治療を続けたところ、予定を組んだり、時間を守ることができるようになりました」
大人の発達障害 2つのパターン
「発達障害の中には、知的に問題がある人や、子どもの頃に診断を受けている人もいますが、最近特に注目されているのが、知的には問題がなく、現在診断を受けていない、いわゆる『大人の発達障害』と呼ばれるものです。
大人の発達障害の中には、アスペルガー症候群とADHDの2つがあります。
アスペルガー症候群は、こだわりの強さやコミュニケーション面の困難さ、感覚過敏や鈍麻(感覚が鈍くなること)などの特性があり、視覚的で、目で見て理解するほうが強く、ゼロかイチかの極端な考え方をする傾向にあります。
一方、ADHDは『不注意』『多動性』『衝動性』の特性があり、落ち着きがなく、いい加減で、思い立つとすぐに何かをやってしまう傾向があります。どちらかというと、言葉や文章に強い人が多いです。
どちらも人間関係のトラブルを抱えたり、仕事でミスを多発したりしますが、その違いは次のようにあらわれます」